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ゆるーくゲームやアニメ、漫画といったサブカルを日常と一緒に伝えていきます

【Blog】劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンを観て参りました。(ネタバレがありますのでご注意ください)

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ども、nAW0です。

遂に本日9/18。公開開始されました劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン。公開初日の一発目を観て参りました。実に涙で溢れに溢れた140分でした…。ハンドタオルびっしょりで驚きました。。。嗚咽したくらいには泣きましたので、皆さん持っていくならばバスタオルがおすすめです。

さて、そんな劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンの製作が発表されたのは、今から約2年前の2018年7月1日(日)、NHKホールにて開催された「ヴァイオレット・エヴァーガーデン フィルム&コンサート」でのことでした。

当時の私も参加させて頂いたことを覚えています。

 

 

今日という日を迎えられたことが感慨深く、今朝起きた時に感じたことがまさにこれでした。公開まで一ヶ月、三週間、一週間。そして前日。近づいていく度に楽しみで仕方ない、劇場で早くヴァイオレットに会いたいという気持ちでいっぱいになって行った程です。

そんな本作品は、ギルベルト・ブーゲンビリアがヴァイオレットに対して贈った「あいしてる」を真摯に、ただひたすらに様々な出会いと経験を通じて向き合っていくストーリーで、今回の劇場版はその集大成とも呼ぶべき、大作でした。私自身も作品を「あいしてる」とまで言える作品は、私の27年という人生でこれが初めての出来事です。

そして今回、本当に心動かされたのは心理描写や感情表現は勿論ですがその構成が見事とと言うほかありません。と、言うのも今作は「未来のきみから過去のあなたへ」と言った形で、過去から未来、未来から過去に繋がりを見せていく展開なのです。(原作とは人の動きが結構話が違うところもありましたが、そこは今回京都アニメーションによるヴァイオレット・エヴァーガーデンということで…。)

故に始まりは、すでに約80年後(推定)。アン・マグノリアの娘夫婦とその子どもとのやり取りで始まりました。ここでもう驚きでした。

すでにガス灯は電気に、手紙は電話へと代わり、その役割を終えようとしていたある日のこと。アンはすでに亡くなり、アンの自宅に保管されていたヴァイオレットが代筆した母であるクラーラからの50年にもわたる手紙をアンの孫であるデイジーが見つけ、その軌跡―ヴァイオレット・エヴァーガーデン―を辿っていくという構成です。

開始5分くらいで涙腺が刺激されるとは思いもよらず、スタッフの間でも、そしてヴァイオレットの中でもあの手紙が、あの時間が心に刻みつけられたのだろうと改めて実感できます。イベントでも10話に対しての反響はかなり強く、2年前のイベントでも石川由依さんが特に印象が残っていると挙げられていて、シーンが少し流れただけで頬を涙で濡らす観客の方々も多かったことが思い出せます。加えて、今まで出会ってきた依頼主の方々の今が流れていくという構成もこれまた見事です。時間の流れも感じます。

そんなデイジーがライデンへと向かい、彼女の軌跡を辿っていきます。しかし、ライデンのC.H郵便社は郵便事業が国の事業となったことを受け、その形に幕を閉じていました。その影響でオフィスはすでに博物館へと姿を変えていました。

C.H.郵便社から博物館へ姿を変えるまで。いや、ヴァイオレットがC.H郵便社を退職するまで…。そこに至るまでのストーリーはもはや涙なしには語れません。そして、ここを語るにあたっては今回最大のキーパーソンであるディートフリート・ブーゲンビリアなしには語ることはできないでしょう。素直になれず曲がった言葉、皮肉めいた表現でしかしないことから、私自身も今作を観るまではそこまで好きになれる人ではありませんでした。

ディートフリートは己を守るための「武器」としてヴァイオレットをギルベルトへ与えたのに、ギルベルトが戦死し彼女が生き残ったという事実は一方的に彼女を恨んでしまうことに繋がったのは分からなくもないのですが…。

しかし、ギルベルトが与えたのは「武器」としての役割ではなく、花の名が似合うような女性になってほしいという願いを込めて贈った「ヴァイオレット」という名でした。その果てに「あいしてる」という言葉をヴァイオレットに贈ったのです。このことでヴァイオレット・エヴァーガーデンという少女は「心」を知り、「感情」を知り、人が紡ぐ「想い」を知り、「あいしてる」という言葉と向き合うことで一生懸命に花を咲かしていくことができたのです。これはギルベルトがいたからこそでした。

ですが、最初から最後までヴァイオレットとギルベルトを繋ぎとめていたのは間違いなく彼の存在でした。彼の存在亡くして、今作は無いと言っても過言ではありません。そして、実はヴァイオレットによって救われていたのもディートフリートでした。亡くしたものを共通としている二人にとってギルベルトは忘れてはならないほどに大切なもので、その彼が幼少時大切にしていた玩具や本をヴァイオレットに繋いでいくシーンは想いも受け継がれているようでとてもジンとくる場面でもありました。歪んでいた関係性が変わったとも言うべき瞬間です。

そんなギルベルトの過去をも共有し、帰路についていたある日のこと。休みのC.H郵便社に呼び鈴が鳴り響きます。住み込みで働いているヴァイオレットは呼び鈴に駆け付け受話器を取ると、そこからは子どもの声で代筆をお願いしたいという一報が届きます。これが今回のもう一つのコアです。ヴァイオレットは超大人気人形のため、3ヶ月先までスケジュールは埋まっていましたが、その声に応じ依頼主である男の子が入院しているという病院へ赴きます。

その少年の名は、ユリス。

不治の病を患っており両親と弟に自分が亡くなった後(その日)に手紙として想いを届けてほしいという依頼でした。正直な話、この話になった途端に涙が出てしまうあたり涙もろさ抜群の私でしたが、それ以上に心動かされたのはヴァイオレットとユリスが代筆を通じて心を通わせていくシーンです。

(ちょっとクスってしまうところもありましたが、そこは置いておくとしましょう。重要なシーンとして親指をグッとするシーンは見物です!)

不治の病を患ったことで、ユリスにどう声をかけてよいか分からない両親と、無邪気に絵本を読んで聞かせようとする弟への想いを対話を通じて形にしていきます。

ある時、ヴァイオレットはユリスに「弟が生まれてから両親を取られたと思いましたか?」と問います。すると彼はそれを首肯します。そしてヴァイオレットは「でも弟さんが付いてくると可愛かったのではないでしょうか?」と問うと。それも首肯し、「あんたよくわかるなー」とヴァイオレットへ返します。もちろん彼女の経験ではありませんが、代筆を重ねていくたびに想いを受け取り、それを形にしてきたヴァイオレットの想いが詰まった、短いながらもこれまでのことを未来へつなぐために奔走した感情が詰まったようなやり取りでもあったのです。

言葉を重ねていく中で、手紙は完成しヴァイオレットはある持ちかけをします。それはユリスの友人であるリュカに言葉で今の想いを伝えなくてよいのか?という話でした。聞くところによると彼は今の姿を見られたくないからリュカに強く当たってしまったと言います。しかし、どこか後悔の節が見られると感じたヴァイオレットは「直接伝えられるのであれば伝えた方が良い」と伝えるとユリスは納得した様子で、その決意を顕にします。ヴァイオレットにもそういう人がいるのかと尋ねられる場面もあり、目頭が熱くなったのを覚えています。手紙を出すこと、そして友人との手紙を書くことを小指と小指で約束した二人。しかし希望に満ちたやり取りの最中、ユリスの状態へ急変し、手紙どころではなくなってしまいます。

そしてその日の夜。クラウディアとベネディクトの二人は宛先不明の手紙について、保管庫で話していると、そこで一通の手紙を発見します。その筆跡は、かつての戦友であるギルベルト・ブーゲンビリアの筆跡そのものでした。

クラウディアは翌朝にはディートフリートを訪ね送付元であったエカルテ島と手紙についてを調査してほしい旨を伝えます。しかし、そこはそう簡単にも行きませんでした。「このことを伝えればヴァイオレットは必ずギルベルトを追いかけていく。ギルベルトがどういう状態なのかもわからないのに行かせるのは不安だ」というクラウディア。それに対して「過保護が過ぎる。ヴァイオレットはモノじゃない」と言い切ったディートフリート。考えを改めつつある彼の心をクラウディアは知る由もなく、ディートフリートの胸倉を掴んで「どの口がそれを言う!」と怒号を上げます。ヴァイオレットとディートフリートとのやり取りを理解している以上、非常に何と言っていいか分からなくなります。勿論、実の娘のようにヴァイオレットを想っているからこそ、ディートフリートへの警戒が厳しいのは分かりますが…。

しかし、そこで皮肉めいた言い回ししかできないことをクラウディアに詫びる様子を見て、やはり少しずつ変化してきている様子が垣間見られます。だからこそクラウディアも今回の件について任せる気になったのでしょう。しかし、キーパーソンであるディートフリートの活躍はここからが本番なのです。

その日の深夜。会社へ戻るとヴァイオレットの部屋を訪ねたクラウディアは「ギルベルトが生きているかもしれない」という話を告げます。本題へ斬り出す前に言い淀んでいるクラウディアを前にして、ギルベルトのことかを尋ねる辺り、彼女の想いの強さも改めてここで再認識できるポイントでした。クラウディアへ言い寄り、涙を溜めた彼女は話が終わると屋根に上り虚空を眺めるような表情でまっすぐ前だけを見据えていました。しかし、それは夜の闇のように不安の表れでもあったのです。

翌朝、エカルテ島へ向かう直前。彼女はクラウディア、カトレア、アイリス、ベネディクトの前で会ったらどうしよう、何を話そう、私は気持ち悪くないだろうかといった不安を一斉に吐露します。しかし、この事態に即対応したのはカトレアでした。「着くまでには3日はかかる。その間に想いを手紙に書いたらどう…?」と。その考えに応じ、手紙をしたためるヴァイオレット。しかし、彼女の日常の中ではすでに彼が根付いており、いつも彼宛に書いていた手紙と内容が変わらなかったのです。

(彼女のタイプライターを使ったタイピングの作画とそれに伴う義手の動きはいつみても惚れ惚れしてしまいます…)

そして、ついに舞台はエカルテ島に場所を移します。実はデイジー(アンの孫)が博物館(旧:C.H郵便社)を訪れた際に展示で飾られていたのがこのエカルテ島の切手であり、これは一つの物語の大きな伏線でもありました。この伏線回収に最後涙を流したのは言うまでもありません。

さて、エカルテ島に到着した一行は孤児院(or 学校?)を訪ねます。そこではクラウディアから待っていてほしいと話を持ち掛けられます。「ギルベルトがどういう状態なのかもわからないのに行かせるのは不安だ」ということ。そしてそのことでヴァイオレットが傷つくことを避けるためにです。ヴァイオレットは渋々首を縦に振るとそこには子どもの姿が。クラウディアのおじさん扱いに私も他人事ではなく、心臓がドキッとしましたが…(苦笑)。そんなおじさん扱いされたクラウディアの後ろにいるヴァイオレットは子どもたちが話しているスゴイ先生について質問します。

「その人は片腕を負傷しているのか?」

「その人は右目に怪我をしているのではないか?」

その答えは「その通り」という事実であり、ヴァイオレットはギルベルトが生きていることを確信します。その時の表情はもう忘れられません。悲しみの渦の中心であったギルベルトが生きていたことへの嬉しさと安堵が混ざるあの表情は京都アニメーションさんしかできないでしょう。

そして時は進み、ついにクラウディアはギルベルトと再会を果たします。再会したギルベルトはここではジルベールと名乗り生活をしていました。ここでは子どもたちに教鞭を執り、農作業を手伝うことで生活しているとのことでした。彼によれば、インテンス奪回作戦後に修道会へ保護されたというのです。当時タグがなかったため、誰だかもわからず修道会預かりとなったという経緯でした。体が動くようになってからも軍へ生存報告をすることもなく、修道会の手伝いをしながら仕事とし、ここ一年でエカルテ島に住み着いたというのがこれまでのギルベルトの在り方でした。

それは、ヴァイオレットがこれから自由になるために自分が離れたほうが為になると思ったゆえの傲慢さなのか。それともブーゲンビリア家という押し付けられた役割を果たすことからの逃避なのか。それをここで推し量ることはできませんでした。

当然ながら、クラウディアはなぜヴァイオレットに連絡しなかったのかを詰問します。しかし、ギルベルトの口から出たのは、「自分があの時手を取ったことで戦争に参加させてしまったという負い目は消えることがなく、自分がいない方が彼女は自由で幸せでいられる。自分には共にいる資格がない」という負い目から出た彼の心にある苦しい声でした。このような状態ではヴァイオレットと逢わせられないと判断し、出直すという言葉と共に踵を返します。

ですが、この状況をどう言葉にしていいのかわからないクラウディアはヴァイオレットに対して、内容を濁らせて話すしかできませんでした。…当然納得ができないヴァイオレットはギルベルトを探し始めます。これまであった喜びは心の底にしまい、焦燥感に駆られます。そして探し始めて数時、心の曇りと同じような空は悲鳴を上げ、雨が降り出します。その時、クラウディアはギルベルトを見つけ、ヴァイオレットに語り掛けました。付いていった先は現在のギルベルトの住まいでした。しかし、ギルベルトはヴァイオレットの扉越しの心配と悲痛、安堵が混ざった不安定な声を聴きながらも動じることはなく、何も行動することなく帰ってくれと言い放ちます。

「あいしてるの言葉も少しはわかるようになったのです」

この言葉にも応じることなく、返ってきた言葉は意固地として「帰ってくれ」の一言でした。彼女の中に大きく存在しているギルベルト・ブーゲンビリアに直接会うことも、直接目を見て話すことも叶わず彼女は扉に背を向け走り出します。

「この大馬鹿野郎っっっ!!!」

クラウディアは叫び、ヴァイオレットを追いかけます。ここまで来てなぜ会うこともできないのか。話すこともたくさんある。なぜ、私と会ってくれないのか。彼女の瞳は涙で溢れました。ギルベルトの気持ちは分からなくもありません。しかし、ギルベルトの思う幸福は、最後にギルベルトが贈った「あいしてる」があったからこそのヴァイオレットの今であり、ギルベルトが傍にいないという事実以外を除けば、ギルベルトが考えた幸福に近いのです。今の彼女をみて話せ!なんで聞きもせず、見もせず自分がいないことが彼女にとっての幸福だと決めつけるんだと。私自身も涙し、クラウディアの言葉に激しく賛同しました。本当にギルベルトは大馬鹿野郎です。

精神的にも、肉体的にも摩耗した二人は灯台守のご婦人のご厚意で灯台の一室を貸りて、一晩を過ごすこととなります。(正確には灯台兼郵便局)しかし、ヴァイオレットの瞳は一番最初にギルベルトと会った時以上に生気のない瞳その物でした。そして、さらにここでヴァイオレットに追い打ちがかかります。ライデンの病院からユリスが危篤にある一報を受けたのです。ここでヴァイオレットは事態を飲み込み、ライデンへ帰ると願い出ます。

このままではユリスの友人であるリュカに想いを届けることはできないからです。しかし、外は嵐で朝までは船が出ない上に、どんなに急いでもライデンまでは3日はかかります。そんな中、どうにかユリスにリュカへ想いを繋げてあげて欲しいというヴァイオレットはクラウディアとも話した結果、アイリスとベネディクトに相談を持ち掛けたのです。

相談を受けた二人は車で病院へ急行します。病院の一室では両親と弟であるシオンが病状が悪化し、弱ってしまったユリスを見つめる中で悲壮な空気が漂う中、アイリスとベネディクトが到着し、手紙を書く旨を伝えます。ユリスはヴァイオレットが来ないことに驚きはありましたが、アイリスから「ヴァイオレットは会いたい人に会いに行っている」という言葉を受け取ると、「よかった、逢えたんだね」と笑顔で答えました。しかしその言葉にヴァイオレットが手紙を書いていた時のような元気な姿はありませんでした。病状は刻一刻と悪化し、言葉にするのがこのままではできないと判断したアイリスは電話による通信で想いを届けようと画策します。

ベネディクトは車でリュカを連れ、強引にも電話のある市長邸へ出向き電話を借りてユリスと話せるよう手配しました。状況を聞きながら対応する執事に差し迫った表情を見せ、従者の襟元に迫るベネディクトの両腕が必死さを物語っていました。

そうして、ユリスとリュカによる最後の会話が始まりました。これ以降から最後までがこの劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンで最も涙で水分が持っていかれた時でもありました。

素直になれず、カッコ悪い姿を見せたくなかったと吐露するユリスは来ないでくれと言ってしまったことについて深く謝ります。されどリュカは事情を察して、そのことを受け入れていました。しかし、心配であることは変わらず、どうしても完全に受け入れることはできなかったリュカは心配過ぎて病院の前まで行き、窓ガラス越しからユリスの表情を見た事がある旨を伝えます。分かり合えていく中で二人が「ずっと友達だよ」と話している様子にアイリスも涙を浮かべ、想いを届けられる電話も良いところあるじゃんと心の声を上げていました。

書いていているだけで思い出して、泣けてしまいます。この辺り観ていてホントにツラくて、、、。二人の想いが同じところにあって、こうして言葉で話し合うことで分かり合える姿に涙が溢れました。

そして、電話が終わり安心しきった彼はそのまま息を引き取りました。悲しみに暮れる中でアイリスは3通分の手紙を家族へ渡します。…母へはパンケーキ美味しかったなぁ、野菜も食べとけばよかったよという言葉と感謝を。父へは釣りもキャンプも楽しかったねという言葉と感謝を。そして、弟には生まれてきてくれてありがとうと言う言葉と自分の分まで両親に甘えてほしいという素直な言葉で並べられていました。手紙を送ってくれたことが嬉しかった弟のシオンくんはお兄ちゃんにありがとうと伝えますが、その様子がまた泣けるのです。

きちんと手紙が渡ったこと。そして、ユリスがヴァイオレットが会いたい人に会えてよかったと言っていたこと。これらは遠くのヴァイオレットにも繋がりました。そしてヴァイオレットはやり残している仕事がまだ多くあると言い放ち、明日にもこの島を出るとクラウディアへ話します。

翌日、ヴァイオレットとクラウディアはライデンへの帰路につくため、港へ向かう際中、前日会った子どもにギルベルト宛の手紙を渡しその場を後にします。そのころギルベルトは農作業の一環として収穫したブドウの運搬機を仕上げており、それを完成させた頃合いでした。そこでは老人から「帰る場所があるなら帰った方がよい」と話を受けますが、これを断ります。しかし、そこに現れたのは兄であるディートフリートでした。

生きていたことを喜んでいましたが、その表情は少しばかり暗い物でした。ディートフリートは問いかけます。

「本当におまえはこれでいいのか?お前はヴァイオレットにどうあって欲しかったんだ」

ギルベルトの答えに変わりはありませんでした。あの時私が手を取ったから彼女は戦争に参加することとなった。多くの命を彼女に奪わせることになってしまった。だからこそ私は彼女のそばにいては、彼女の幸福にためにならないのだと。

断固としないギルベルトにディートフリートはヴァイオレットからの手紙を届けます。そこに綴られたのは、感謝の言葉と今までのことについての想いが並べられた手紙でした。

ギルベルトがいたからこそ、今がある。あの時ヴァイオレットを人として受け入れていたこと。文字を教えてくれたこと。言葉を教えてくれたこと。名前をくれたこと。そして「あいしてる」と言ってくれたこと。これらは全てギルベルトから貰ったものであり、今の自分を構成しているのは全てギルベルトあってのものだと…。

「愛してる」と言葉を贈ったギルベルトも感情を抑えることはできませんでした。そして後を押すように、「ブーゲンビリアの家は俺が継ぐ。お前はお前のやりたいことをやれ」というディートフリートの言葉を受けてすでに出港した船に目掛けて走り出します。

ここまでの物語。確かに自分自身と周りに助けられ紡いできたヴァイオレットの物語はディートフリート・ブーゲンビリアによってさらに言祝ぐこととなるのです。今作のキーパーソンというのはこういうことだったんですね。

すでに船は港を出ていましたが、彼は走り続けました。

「ヴァイオレットー!」というギルベルトの叫びは島中に響き渡るかのように、船にいたヴァイオレットにも届きます。ここで流れる「みちしるべ」は反則です。もう歌詞がこの状況ですもん。また生で聴ける機会があれば聴いてみたいですし、意味もまた変わって聞こえますね。声を聴いたヴァイオレットは船から飛び出し海面へ。同様にギルベルトも海面へ飛び込みます。向かい合う二人、距離が近づいていく二人。海は月明かりに照らされつつある中で幻想的な美しさを放ち、二人の再開を祝福するかのようでした。

想いが強く言葉で表せないヴァイオレットを前にギルベルトがそっと抱きしめる姿は脳裏から離れません。あぁ、この瞬間をボクは2年前から待っていたんだと思うと、そういった感情も混じり、またも顔は涙に濡れていました。

そうして二人はエカルテ島で暮らしていくこととなるのです。劇中では18歳でC.H郵便社を退職したとありましたが、ギルベルトと再会した後に残りの仕事を片付けて退職という形になったようです。後日談では、退職したエリカが劇作家となってその劇をクラウディア、ベネディクト、カトレア、アイリスで観に行った際に、夜空に浮かぶ花火を観て「綺麗だねヴァイオレットちゃん」と横にいないヴァイオレットに無意識で話しかけたことに気付いて涙するクラウディアを観て私もそこで涙しました。クラウディアはヴァイオレットを娘のように想っていましたからね…。寂しさも一入ですよね…。

そしてここで、舞台は未来に戻り、現代のエカルテ島に。エカルテ島ではヴァイオレットが現役時はC.H郵便社を退職した後に灯台を拠点とした自動式人形サービスが行われていましたが、今では灯台で業務は行っていないという少し寂しい事実もありました。しかし、電話が主流となった今でもヴァイオレットの影響もあり、世界で一番手紙が多い島として有名なのだそうです。そしてその説明をしてくれたのは、おそらく当時出てきた島の子孫なのでしょう。グッのサインも残ってましたねー。まぁ誰が誰なのかは今後観ていく中で解明が必要そうですが…。

そして、ここでもう一つ嬉しいことがありました。この島の切手はなんと「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」がモデルになっているのです。これはC.H郵便保存財団が公認としているものでした。

アニメ放映時のEDでの「みちしるべ」が流れる際に黒シルエットでヴァイオレットが歩いていますよね?あれです。アレがまんま切手になった感じです。

(あーなたのーこえがーのところです。各自ご覧いただいてご確認ください…)

どれだけ彼女が影響を与えたのか。それはこの切手と現状を観れば確かでしょう。想いを届ける手紙がこれだけ島中に溢れているのだから。。。そしてそんな想いを受けたデイジーは両親への想いを手紙にして送るのです。両親が医療関係の仕事をしていてアンに中々会うことができないといったことを責めてしまったことも含め、これまで軌跡を追ったヴァイオレット・エヴァーガーデンのように想いを手紙で届けて両親との想いを深めていくことになるのです。(ここで幕)

主題歌が流れていく中で思いましたが、WILLは観る前と後では全く印象が違うものになっていました。すべてにおいてボクは当初すべての歌詞がヴァイオレットからギルベルトへの想いを綴ったものかと思いましたが、考えようによっては全部ヴァイオレットからギルベルトへとかと思いきや、今作の登場人物であてはめられるんですね。

花はやがて 土に還り 芽吹いていく
新たな 若葉を育てていくのでしょう
それでも 愛した日々は消えない


帰ろうか 帰ろうよ 捨て去るものなんてない
喜び 悲しみ 全てに たゆたい
ただ ただ ただ あなたと 生きていく

これは、ヴァイオレットからギルベルトなんですよ。

雨はあがり 雲は流れ 次の街へ
過ちは 色褪せぬまま残るのでしょう
それでも 私は歩いていく

 

話そうか 話そうよ 振り返る言葉よりも
明日を 伝えて おなじ空に 指切りしよう

これはユリスからリュカ。あるいはヴァイオレットからリュカという風にも考えられますね。もちろん、ヴァイオレットからギルベルトへもあります。

頬を撫でる涙も 絶え間ない愛しさも
あなたを想いながら 見つけたものばかりだから

 

未来へ
帰ろうか 帰ろうよ 捨て去るものなんてない
喜び 悲しみ “あいしてる” と 書いた手紙 風に揺れる

これはデイジーから両親へ、そしてヴァイオレットからギルベルトへも取れます。

唐沢美帆さんの作品感を歌詞へ繋げていくこの表現手法は感服します。どれだけ読み込みどれだけ形に落とし込むために徹底的なまでに頭を回転させたのか…。素晴らしい努力です。脱帽いたします。

加えて、未来のひとへですよ。これもまた劇場で流れると思いませんでしたけど印象が変わりますねこれは。もともとボーカルコレクションに入っていた曲で劇中で使われることはないと思っていましたが、まさかのここでですよ。

あなたが生きる 未来にはどれだけ
言葉が溢れているの
そこに 愛してるは あるのかな
こころが選ぶ 場所へと歩き出す
そこにあなたがいて
なんて小さな夢を見る 会いたい 

これもまた意味が変わります。デイジー在り気の場合でも考えられますし、ヴァイオレットからギルベルト、あるいはヴァイオレットからヴァイオレットの依頼者に向けた未来のメッセージとも今後取れるようになります。

TRUEさんありがとうございます。ヴァイオレット・エヴァーガーデンの世界が歌でここまで表現されているのが本当に素晴らしいです。そして、Evanさん、斎藤滋さんありがとうございます…!

改めてになりますが、本当に今日という日が迎えられたこと嬉しく思います。こうしてクリエイターさんたちが作り上げてきた作品がこうして劇場公開されたことを心から嬉しく思います。京都アニメーション様をはじめとする全てのクリエイターの皆様、そしてヴァイオレット・エヴァーガーデンに携わった全ての方々に心より感謝申し上げます。公開までのご尽力、誠にありがとうございました!

私もこれから何度観るか分かりませんが、ヴァイオレット・エヴァーガーデンをこれからもずっと応援しております。

皆さんの作品に対する「あいしてる」が沢山詰まったヴァイオレット・エヴァーガーデンを心から愛しています。

本当にありがとうございました!!

 


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