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【Blog】「映画 バクテン!!」を観てきました


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ども、naw0です。

遅くなりましたが、「映画 バクテン!!」を観てきました。

男子新体操に向き合ったからこそ生まれた青春アニメの金字塔を立てた作品と言っていいと思います。

青春×部活のアニメとしては間違いなくボクの中でダントツの作品になりました。あまりに良すぎてしばらく余韻に浸ってました。それくらい自分の心をグザグサ刺してくる想い入れの強い作品です。

さて、そんな今作の肝がどこなのかといえば、「圧倒的多数であろう部活の最後の形」なのかなと私の中では思っています。

私が観に行ったのは、3年生を演じた小野さん、近藤さん、下野さんが登壇された7/23(土)の舞台挨拶なのですが、その中で小野さんと下野さんが「部活の形としては最も多いであろう敗退での終わり。そこでの葛藤を描くというのはとてもリアルでもある」と仰っていて私も観ながら思っていたことを見事にお話されていたので、やはりここが肝なのかなと。

加えて、お三人も仰っていて、特に強く話されていたのは近藤さんでしたが、こういう部活をテーマとした作品は勝ちきってハッピーエンドというパターンが多いけど、大多数の人が抱く敗退のその後というのを今回敢えて、思春期真盛りの多感な時期の葛藤と共に描いているということで特に心打たれるのものがあるなと思いましたね。私自身も負け続けてきましたが、それを糧にしてきた人種なので今回は特に刺さったなと感じました。

また、似た話から繋げますが、作中でも描かれている、男子新体操には学生のその後が無く、それで終わってしまうのです。そういった未来への葛藤自身もこの作品ならではかと思います。これも葛藤を描いたリアルだと思います。この経験をしている志田自身も大会が終わったあと、その道を繋げるために未来のためにと思い切り、現在を閉ざす形になろうとも実現のために職を辞すことを選択していました。学生の身では決して切れない選択をするというこの決断も葛藤の末に出したものであり、このバクテンという作品が新体操に向き合ったからこそできる話の繋げ方だなと思えました。

繰り返しになるかもですが、この作品は男子新体操に真剣に向き合ったからこそ生まれた作品です。現実かのような精密な心理描写と、魂を込めた役者さんの演技。ダイナミックな動きと徐々に徐々に心を動かしてくる劇伴音楽。すべてが調和していて何度も観たいなと思える作品でした。舞台挨拶での話によれば、劇場版を前提とした作品構成で制作され今回に至ったというわけでありますが、久々に劇場型完結作品でこんなにも綺麗に、こんなにも感動できる作品に出会えたと思います。

と、まぁ全体としてはこんな感じかと思いますのでもう少し作品の流れに寄りつつ、ミクロに書いていこうと思います。

ちなみにですが、観る前は完全にインターハイまでを描くものと思っておりまして、その感覚でいたのですがいい意味で裏切られました。早い段階でインハイの様子が描かれたので、「ん?」とは思ったのですが、まさかそう来るとは。

インハイを敗退という形で終え、3年生は引退。その後は亘理を中心とした形に引き継がれることになります。加えて、顧問である志田は新体操を広めるために教育を兼ねたナーチャリング活動を行うため教職を辞す考えを伝えます。ボクとしては活動の理念は分かるが、これは志田が環境を上手く使ったと教え子からしたらそう思えても仕方ないと思えた瞬間です。少しばかり嫌な言い回しを敢えてしますが、このタイミングを逃すと志田は一生活動の幅を広げられなくなるんです。要するに学生が入ってくる度に辞めることが難しくなってしまうんですね。だからこそ引き際をインハイに設定した。…啓蒙活動には時間もかかります。で、なくとも男子新体操は日本発祥の競技で人口も少なくオリンピックや世界競技としていくためには計り知れない行動が必要になってきます。だからこそ、付き合いは短くも深く教えることができた3年生を前にして告げれば、2年生と1年生から恨み言を吐かれることはあれどそれ以上にはならないとも言える打算的な行動をせざるを得なかったのではないか…と少しばかり大人のエゴを感じてしまうようなシーンだったんですよね、ここ。実際、翔太郎から不安を吐露されても周りがそれを抑えていましたから、私の中で余計そういうことを考えてしまっていました。志田の葛藤と表してしまえばそれまでですが、いくらでも解釈はできます。実際に観られた方はどんなことを感じたのか話してみたいですね、このあたりは。ちなみに、後半のシーンで馬淵さんが志田さんに怒ったという話があり、多分この感じのことは言われたのかなとは思います。…と、それはさておき。そんな敗退を受け入れ始め、これから先の不安さえも飲み込んでいる亘理と美里の胸中を考えるとここはかなり心が穿たれるシーンだったということは間違いないです。先輩がいなくなるという不安、顧問がいなくなるという不安を抱えることになる亘理、翔太郎、美里。

3年という一瞬の時間の中に突如襲われる未来への不安。このあたりは観ていてとても胸が痛くなります。不安を殺しながら周りを鼓舞しつつ当たってしまう美里。自分のことで精一杯になってしまう翔太郎。そしてインハイの失敗で不甲斐なく先輩たちを引退させてしまった罪悪感と余りの不安に殺されそうになる亘理。このどうしようもない中で藻掻いていく3人の葛藤は作中の中でも特に感情が動く繊細なシーンです。中心はあくまでキャプテンである亘理であったのもポイントが高い点です。舞台挨拶で小野さんも仰っていましたね。

そんな亘理がいっぱいいっぱいになってしまう中で街の青高の新体操を演舞を観せて欲しいというスポーツイベントへの招致を断るシーンから、少しずつチームが崩れていきそうな中で自分にできることを探す翔太郎と美里。そんな翔太郎と美里は断りを入れたスポーツクラブが行われている会場に脚を趣き、「新体操がカッコいい、バクテンをしてみたい!」という青高の演舞を観た子どもの言葉に引っ張られ、断り自体に断りを入れてスポーツフェスに参加することを伝えます。不安の中、演技できるかどうかもという精神状態の中にある亘理は断りを入れることを提案しますが、美里に「先輩たちにもやりきった演技で終えて欲しい。それは亘理や自分たちも同じこと」という言葉を受け、その場にいた3年生である七ヶ浜や築館、女川も同意し気持ちの良い演舞で終わらせる、そして新たな夢へ進む志田先生のためにスポーツイベントでの演舞に挑むことを誓います。そんな後輩に引っ張られて、自身にできることを精一杯にやっていく亘理。特に亘理がスポーツイベント参加のために3年生を含めた練習不足のチームをどうにかするために白高まで行って、自分たちの練習を観てほしいと懇願した場面には先輩の背中、キャプテンの背中を見せてもらいました。亘理を演じられたのは神谷浩史さんでしたが、亘理の感情の機微を見事に演じられていてこのシーンは魅入ってしまいました。泣けたなぁ…。

白校で練習を続け、地元へ帰る7人。キャプテンとして大きく成長した亘理を3年生たちが笑顔でエールとして告げていくのは観ていて泣いてしまいます。

そして、年が明けたスポーツフェスでの演舞。流れるのはそう、Sparkle. インハイで満足に跳べなかった悔しさも、6人で駆け抜ける最後の演舞という寂しさも、顧問である志田先生への感謝を込めてこの時にすべてをぶつけます。楽しそうだなぁと流れ行く約3分の中で何度思ったか分かりません。今までの自分たちをぶつけ、バチバチに輝いている6人が今でも脳裏に浮かんできます。終わったあとだけでなく、その最中も涙が今止まりませんでした。そして演舞が終わる中で訪れる拍手喝采とアンコールの嵐。いや、確かにあんなの魅せられたらアンコールと言いたくなるのも分かります。鳴り止まない喝采の中で、白校の選手たちも現れて、鳴り響くのは Two The Top~Exhibition Action . 青高と白校の2校で行われる演舞。マッドの上で行われるバチバチと弾け跳ぶ跳躍の嵐は是非とも劇場でご覧頂きたいシーンです。心が震えます。大人数ということもあり、迫力がスゴイです。一人一人の笑顔もそうですし、美里とましろの2人のカットは必見です。跳躍と笑顔、迫力で見事に持っていかれるシーンです。いや、もうホントあのシーン良すぎたんですよねぇ…。やっぱ何度も観に行きたくなってしまいます。ちなみにEDにこのあとすぐ飛ぶんですが、マジで余韻良すぎてあんまED覚えてないので観に行こうと思います、もう一度。卒業式の日に寮の前で撮ったあの写真はマジで何らかの形で残させてください、複製原画とか複製原画とか。いや、ホントよろしくお願いしますね!

さて、綴ってきました「バクテン!!」。「バクテン!!」を主体にして青春についても話してきましたが人間の一生というのは大体が80年近くです。その中で高校生活はたったの3年しかありません。たったの3.7%の重量でしかないですが、そこでしか得られない経験がある。8人が得たかけがえのない時間と、1人1人が得たこれから自分が携わるべき未来のカタチ。今作はその8人で過ごした1年間の集大成です。この映画 バクテン!!に余りにもボクは心動かされました。映画にももちろん足を運びますが、次は聖地巡礼もしたいですかね。東北はもちろん、高松にも足を運ばないとです。

最後になりますが、この作品が劇場で観られたこと心から感謝申し上げます。心からありがとうございました!スタッフの皆さん、キャストの皆さん一人一人にお疲れさまでした、ありがとうございましたとお礼を申し上げたいほどにです。バクテン!!と出会えていなければ男子新体操を知ることもなかったし、実際に大会へ足を運ぶこともなかったと思います。出会いを与えてくれた皆様にこの場を借りて心から感謝申し上げます。何度言っても足りないくらいです。

ボクは「バクテン!!」が大好きです!

スタッフの皆さん、キャストの皆さん、本当にありがとうございました!

…。さて、今回はこのあたりでペンを置こうと思います。それでは皆さんまたそのうちに。